MASA884 Blog

クリエイティブな お生活。

2008年06月

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「Show Time」

沈み行く夕日に照らされ、徐々に深く染まる夕暮れ時の世界。

わずか数分の間に、様々な表情を移り代わりに見せてゆく光景は、
僕たち人間を観客に、自然の競演が魅せてくれる”ショー”だ。


この日は、梅雨空の合間に恵まれた晴れという、貴重な舞台。
翌日からの天気予報は、また傘マークがずらっと並んでいた。

「梅雨が明けるまで、またしばらく夕焼けともお別れかな・・」
ふとそんなことを考えると、僕は心持ち切ない気持ちに駆られる。

すると、そんな僕の心を察してか、風がなぐさめるように優しく吹くんだ。


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「明日への香り」

”また明日”。

夕日はそう告げると、姿が見えなくなるその時まで、僕たちへ手を振り帰ってゆく。
そんな夕日が残していった、”明日への香り”を胸いっぱいに吸い込むと、
僕の心は明日への期待感で満たされた。


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「撤収」

夕暮れのショーも終わり、観客は家路へつこうと、次第に準備を始めてゆく。
そんな時、僕は「あ・・!」と、あることを思いつき、足早に細いあぜ道を駆け下りた。
そして、後ろを振り返ると、シャッターボタンに指を置き、慎重にその瞬間を待つ・・

自分の中で失敗は許されないと思ったカット。
残る集中力のすべてをこの瞬間、僕は指先に託した。


080612_明日香_7

「余韻に浸って・・」

ほとんどのカメラマンが撤収をしてゆく中、呆然と立ち尽くすカメラマン。
その後姿には、余韻に浸りつつも、どこか名残惜しそうに想う気持ちが見え隠れする。

そんな後姿に誘われるように、僕もまた余韻に浸った。

”明日への香り”に包まれながら・・

                         【完】

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一つ目のスポットで出会った女性カメラマンに、
撮影スポットの情報をもらった僕は、教えてもらった場所へと向かった。

場所は緩やかな坂道を山の方へと上がっていったところにあるとのこと。
注意しながら速度を控えめに、車で道をのぼってゆく。

そして、緩やかなカーブを抜けた時、”それ”は目に飛び込んできた・・!


080612_明日香_2

道路のラインに沿うように道端にできた、ただならぬ車の行列。
そして、先の方には、夕日を見つめ群がる人々・・

田舎の風情が薫る地にしては、なんとも物々しい光景に、僕は思わず驚いた。

とりあえず、近くへ様子を見に行ってみるために、車を邪魔にならないように停め、
人々の群がる方へと向かって歩いてゆく。

近づいていくと、人々の群れは手前側と後方側に大きく2つに分かれているのがわかった。

手前側には、カメラを持たない人たちの姿。(地元の方々?)
後方側には、三脚を広げたカメラマンたちの姿。

おおまかにはこんな感じで分かれていた。

”これは絶対に素晴らしい光景が見れるに違いない・・!!”
目を通して心へと飛び込んできた”期待感”が、僕の心を激しく揺さぶった。

そして、カメラマンたちの目線をうかがうべく、早速彼らのもとへと向かってみると・・


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そこには、写真に情熱をかける背中が並んでいた。
水田にクッキリと映し出されたシルエットは、彼らの写真に対する濁りのない気持ちを
代弁するかのように佇んでいる。

”「三脚を使わないなら撮れると思います」”
先程の女性カメラマンの言葉が、僕の脳裏をよぎった。

確かに三脚は無理だけど、人と人との間からは十分に狙えそうだったので、
今日はこの場所から撮ることに決め、撮影を始めた。


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教えてもらったこちらのスポットからの眺め。
確かに棚田の規模はこちらのほうが広く、スケールは大きい。

空と棚田に挟まれた山並みは優雅で美しいラインを描く。
ちょうど山と山が折り重なる部分に陽が落ちてゆくのも、
偶然にして、とても恵まれたチャンスだった。

僕は目の前に広がる日本の風景に心を打たれつつ、シャッターを切ってゆく。。
周りではカメラマンたちが、カメラの話に花を咲かせていた。

よくよく見ると、ほとんどのカメラマンはフィルムで撮っている。
しかもパッと見、僕には扱い方がわからないようなカメラがほとんどで、
一枚撮っては、しきりに露出計を使って露出を計っている人の姿も。

次第に陽が山並みへと沈み、景色を焼け染めていくと、
みんな口数が減ってゆき、カメラのもとを離れていたカメラマンたちも
「そろそろやなぁ。」と、カメラの元へと戻ってきた。


これからの僅かな時間がチャンスだ。

僕は高ぶる興奮と気持ちを抑えながら、持てる感性を指先へと冷静に伝えてゆく・・

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【後編】へ続く。

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先日、奈良県の「明日香村」へ、夕景を撮るため訪れた。

明日香村といえば、「石舞台」や「キトラ古墳」など、
歴史にゆかりあるスポットから、「稲渕」の棚田といった
多くのカメラマンを魅了する景色まで、幅の広い魅力を有する場所だ。

僕には、そんな明日香に付き合いのある友人が住んでおり、
その友人と出会った頃から、僕の中で明日香村という存在は、
少しずつ、馴染みのある場所へと変わっていった。


明日香へは、自宅から車で20分ほどの距離。
どのあたりから撮るかは、特に決めていない。

というのも、僕は今までに、明日香に住む友人宅へ行くぐらいでしか
明日香を訪れていないので、明日香の地図は、まだ僕の頭の中ではほとんど白紙に近い。

なので、とりあえずは明日香に入ってから、場所は探すことにした。

今回は、田んぼが構図に入るイメージだったので、田んぼをキーワードに
土地勘を試すように、勘で走ってみた。

しばらくすると、田んぼの脇を通る道に、何人かポツンポツンと人の佇む姿が目に映る。
通り過ぎさまに見てみると、三脚にカメラをセットしている人がいた。

「これはキタかも♪」と、道端に車を停め、カメラ片手に人のいる方へと駆け寄った。

こんにちはー♪と一声かけると、夕景を見に来られていた老夫婦の方や、
カメラマンの方と会話がはずむ。

会話がひと段落すると、一枚撮って、また会話しては一枚撮った。

080612_明日香_1
(※クリックで拡大します)

そんな感じで何枚か撮った頃、ある女性のカメラマンの方が、
「もう上の方には行かれましたか?」と、尋ねてきた。

上の方・・?と、ピンとこなかったので、お話を伺ってみると、

「この道を上まで行くと、もっと綺麗に撮れる場所がありますよ♪
人の数が多いけど、三脚を使わないなら撮れると思います。」

とのこと。

せっかく頂けた情報に、僕は女性にお礼と別れを告げ、
”上の方”へと向かうことにしたのだった・・


【後編】へ続く。

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